自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!


 二人は模造剣を手に鍛練場の中央に立つと、向かい合って一礼を交わした。

「始め!」

 審判役の声を合図に、二人同時に踏み込む。剣と剣とがぶつかり合うと、強い衝撃が手に伝わってきた。

「くっ……」

 声を漏らしたのは、アロンだった。それを見ながらリリアーヌはグッと地面を蹴り、アロンの懐へと入り込む。焦ったアロンが剣を振り降ろすが、振り降ろされた剣を受け流しクルリと体を回転させた。するとアロンの手にあった剣がブンブンと音を立てて空中へ弾き飛ばされた。唖然とするアロンの首元にリリアーヌは模造剣を突きつけた。

「そっ……そこまで!」

 審判役が驚きながら慌てて声を張り上げる。

 すると信じられないといった様子で騎士達がどよめき、その後歓声が上がった。

 そんな中、アロンはリリアーヌに敬意を表し一礼をした。

「参りました。さすがは碧青の騎士様ですね」

「いえ……そう言って頂き、ありがとうございます」

 リリアーヌもアロンに対し一礼すると、更に歓声が上がった。

「かっけーー」

「今度は俺と手合わせをお願いします」

「俺ともお願いします」

 次々に手合わせを申し込まれ、戸惑うリリアーヌ。

 それを遠目で見ていたサラは、溜め息を付いていた。

 あの状況が辺境伯領令嬢時代の舞踏会だったら良かったのに……。主が舞踏会でモテモテの状況……そんな事は夢のまた夢だった。あの方はドレスや宝石より、剣を振るうのを好む方だ。

 はぁーーっと、サラが大きく溜め息を付いた。