「沢山食べなきゃもたないよ。あんた新人だろ……ん?あんた女の子かい。ならこっちにしな」
そう言って小さめのお皿に料理をのせてくれた。それでも女子が食べるには多すぎる量に驚いていると、それを見た目の前の女性が「あはははっ」と豪快に笑った。
「お嬢さん、残しても良いから無理矢理にでも胃に入れな。午後は鍛練だろ?もたないよ」
「わっ……分かりました。頑張って食べます」
「あはははっ、頑張って食べな」
恰幅の良いこの女性は、騎士団専属の料理人でハンナさんと言うらしい。
「ハンナさんの料理は凄く美味しいんです。さあ、早く食べましょう」
ルーニにそう言われ頷くと、空いている席に腰を下ろした。ルーニは待ってましたとばかりに、骨付きの肉に手を伸ばしそのまま口に運んだ。それをリリアーヌが見つめていると、ルーニがハッとした顔をしながら立ち上がった。
「ナイフとフォークを持ってきます。それとも肉を切ってもらいますか?」
まさかのルーニの気遣いに苦笑しながら首を横に振った。
「そんなに気にしなくても大丈夫です。私は辺境伯領育ちだから屈強な男性に囲まれた環境で食事や鍛練を行ってきました。久しぶりのこの環境に少し、浸っていたいただけなので大丈夫です。気にしないで下さい」
そう言ってリリアーヌは骨付き肉に手を伸ばし、カプリとかぶりついた。
それを見ていたルーニが唖然としながらストンと、椅子に座った。
「マジ天使……」
そうボソリと呟いたルーニの声は、食堂の喧噪にかき消され、リリアーヌには届かなかった。


