それというのもルーレンス王国では、このような場合この国の作法として、王の申し出を断ることが美徳とされている。そのため、本来なら『その言葉だけで結構です。何もいりません』そう答えることが正解で、褒美をねだってはならないのだ。
「何か欲しいものがあるのか?」
その言葉にリリアーヌはこくんと頷いた。
すると、回りで見ていた重臣達からざわめきが起こる。
「なんたる不届き者」
「辺境拍は教育を間違えたな」
「はしたない娘」
リリアーヌを揶揄する声が聞こえてくる。
それでもリリアーヌは言わなくてはならない。
「どうした?言ってみよ」
王の声に怒った様子は無い。それでも不敬罪に問われないかと、声が震えないよう下腹部に力を入れ声を出した。
「陛下、私を騎士団に入れてもらえないでしょうか?」
「おぬしは騎士団に入りたいのか?」
「はい」
少しの沈黙の後、陛下が口を開いた。
「ふ……ふふっ……あはははっ……。どんな願いを言うのかと思えば、宝石やドレスでは無く、騎士団に入りたいとな?面白い、良いだろう。のう、ここに騎士団長もいることだ。グランツ騎士団長良いな?」
王の言葉に安堵しながらグランツ様の方へと視線を向けると、目を見開いたまま固まっていた。
よほど驚いたのだろう。
王の言葉にグランツ様が応えられないでいる。
「グランツどうした?良いな?」
「おっ……仰せの通りに」
何とか言葉を絞り出したグランツ様が頭を下げた。


