部屋の扉の前では護衛騎士二人が、目を見開きながらこちらを凝視していた。それに気づいたリリアーヌは恥ずかしさからグランツの後ろに隠れた。そんな可愛らしい仕草を見せるリリアーヌの姿に、護衛騎士二人が頬を染める。顔を緩ませた護衛騎士二人にグランツが一睨みすると、騎士二人は顔を蒼白にさせた。青い顔をした騎士二人に向かって、グランツ様は扉に入るため入室の許可を取る。
「入室の許可を」
「「はっ……はい!」」
二人の騎士が声を合わせ答えると、部屋の中にいる人物に、騎士団長が訪れたことを伝えた。するとすぐに扉は開かれ、入室の許可が出た。
「どうぞ、お入り下さい」
眼鏡を掛けた執事が部屋の中へと促してくれた。部屋へと入って行くと、執務机で業務を行っていた男性が顔を上げた。
この方は……。
見覚えのある目の前の男性は、ただならぬオーラを放ちながら美しい金髪、碧眼の美丈夫な顔を緩めて柔らかく笑った。それからゆっくりと立ち上がると、リリアーヌ前までやって来た。表情を無くして固まるリリアーヌに男性は楽しそうに笑う。
「そんなに緊張しないで、リリアーヌ嬢。私はこの国の王太子でドミニク・ルーレンス。先日の誕生祭ではご苦労様。直接お礼が言いたくて来てもらったんだ。ありがとう」
そう言って、王太子殿下が胸に手を当てて頭を下げた。王族が頭を下げる姿など、普段見ることも無ければ、聞いたことも無い。リリアーヌは慌てふためいた。
「おっ……王太子殿下、存じ上げております。おっ……お礼など……頭をお上げ下さい」
「そうか、ありがとうリリアーヌ嬢。さあ、お茶を入れさせた。こちらに座って少し話をしよう」


