自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!


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 王城前では騎士達がソワソワと、馬車の到着を待っていた。先日王族を守った騎士団長の奥方の姿を一目でも見ようと、騎士達が集まっていた。

「本当に騎士団長の奥さん来るのかな?」

「来るはずだけど、どんな人なんだろうな?」

「辺境拍の令嬢で、男もバサバサ切り落とすんだろ?筋肉隆々の令嬢だろうな」

「だよな……手練れの男達を簡単に切り刻むとか、普通の令嬢には出来ないよな?」

「でも、新人のニールが天使だって言ってたぜ。鍛練場で見たって連中も可愛かったって話していたし」

「マジで?剣を持って斬りつける天使?可愛いのか……それなのに強い?……う゛ん~わからん」

 騎士達がそんな雑談をしていると、低い声が聞こえてきた。

「お前達、楽しそうだな?今ここが襲撃されたら、皆死んでいたぞ!集中しろ!」

「ふっ……副団長!申し訳ありません」

 一斉に頭を下げる騎士達に、副団長であるアロンは溜め息を付いた。

 その時、一台の馬車が王城前に到着した。御者が馬車の扉を叩き到着したことを告げる。しかし、中にいる人間は出てくる気配が無かった。心配した御者がもう一度声を掛けると、馬車の扉が開き騎士団長であるグランツが出てきた。騎士達はその姿を確認し、その場に緊張が走る。騎士達はグランツに挨拶である敬礼をしようとしたが、当の本人はクルリと後ろを振り返り、もう一度馬車に半身を乗り込ませていた。

 どうしたのだろうと皆が首を傾げた時だった。

 いつもの様に厳めしい顔をしていた団長が、口角を上げると表情を和らげた。それからこちらを向き、歩き出した団長の腕の中には真っ赤な顔をした可愛らしい女性がいた。女性は恥ずかしがりながらも、団長に縋るように甘えていて庇護欲を誘った。

「うっわ。可愛い」

「団長でもあんなことするんだな」

 そんな声が聞こえたのか、グランツがギロリと睨みつけると騎士達は震え上がった。しかしそんなグランツに女性がスリスリとすり寄れば、その顔が柔らかく綻ぶ。

「うわー。誰だよあれ」

「マジか……あれが団長……」

「スリスリ俺もされたい」

「うっわ……デレデレじゃん」

 副団長であるアロンも、そんなグランツを見つめながら驚愕した。

「誰だよ、あいつは……」