断罪されると思っていたのに、褒美?
「あの……グランツ様?」
「なんだ?」
「私は断罪され、離縁されるのでは?」
「は?何を言っている?そんなわけが無いだろう。誰かがそう言ったのか?」
「いえ……城に忍び込み、人を斬りつけるような野蛮な女は離縁されて当然かと……」
「きみは、この国の英雄で王族を守った功労者だろう」
「では……私は離縁されないと?」
「当たり前だろう。そんな事はしない」
リリアーヌはグランツの言葉を聞き、体から力を抜いた。
良かった。
私はまだグランツ様の隣にいられる。
その時、トントンと馬車の扉が叩かれ、王城に着いたことが知らされた。すぐにグランツ様が立ち上がり、外に出ようとした。しかしリリアーヌは慌てて、グランツ様の服の裾を掴んだ。それに驚いたグランツ様が振り返る。
「どうした?」
「グランツ様……申し訳ありません。グランツ様から離縁されるとばかり思っていて……違うと分かって……。その、体から力が抜けてしまって……その……」
「リリアーヌ、それで?」
「その……立てません」
「はっ?」
「ごめんなさい。足に力が入らないのです」
驚いた顔をしたグランツ様が、次の瞬間には困った様な顔をしながら笑った。
あっ……私の好きな顔だわ。
ふふふっ……と笑っていると、馬車の外に出たグランツ様が振り返り、抱え上げてくれた。それはお姫様抱っこの状態で、包み込まれるようにグランツ様の腕の中にいた。
「グ……グランツ様。あの……これは……」
「大丈夫だ。落としたりはしないから、しっかりと掴まっていなさい」
落とされることは無いと分かっているけれど、これはかなり恥ずかしい。
「あの……でも……」
グランツ様が大丈夫だと言うようにフッと笑った。それが嬉しくて思わずグランツ様の首にすがりつき、子猫のようにスリスリと甘えてみる。すると「グッ……」とくぐもった声がグランツ様の口から漏れた。
あれ?
どうしたのかしら?
しかし、グランツ様は何も無かったかのように私の背中をポンポンと叩いてくれた。それは子供にするような動作だったが、リリアーヌは嬉しかった。


