自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!


 するとゆっくりと開かれた扉からグランツ様が入って来た。ゆっくりとした歩調で私の前まで来たグランツ様は、シルクのシャツを羽織っただけのラフな格好をしていた。

 シルクの薄い布地のせいで、グランツ様の美しい体躯が晒され目の毒です。

 ああ……しなやかで何て美しの。目が離せない。

 リリアーヌは感動で体が震えるぬよう、胸の前で手を組み力を入れる。グランツ様が私の髪に触れ、それから頬に触れてきた。

 ああ……こんなに近くにグランツ様を感じることが出来る日が来るなんて……。

 嬉しすぎて涙が出そう。

 恥ずかしさから伏せていた顔を勇気を振り絞って見上げると、そこには困った様に笑うグランツ様の姿があった。金色の瞳が細められ、昔の記憶がよみがえる。

 初めて会った日も、こんな風に笑っていた。

 昔と何も変わらないこの顔は私を気遣っているのだろう。そんなグランツ様の様子に緊張が和らいでいく。

 グランツ様……。

 グランツ様の頬には大きな傷がある。どこぞの貴婦人方はその傷を野蛮で恐ろしいと言っているようだが、私はむしろその傷のおかげでグランツ様が更に魅力的に見える。その傷は勝利の勲章、英雄の証なのだから。

 雄々しく、しなやかな獣のようなあなたに、私は今夜全てを捧げます。

 そう思いながらジッとグランツ様を見つめていると、思ってもいない言葉が囁かれる。

「今日は疲れただろう。ゆっくり休みなさい」

「えっ……」

 それだけ言って部屋から出て行くグランツ様。呆気に取られ過ぎて、呼び止めることも出来なかった。


 どうして……。