自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!


 侍女達から殺気は感じられないため、リリアーヌは間抜けな声を出し狼狽えた。どうしたら良いのか分からずローズ様に視線を向けると、視線の先ではローズ様が優雅にお茶を飲んでいた。

「……ローズ様?」

 助けて欲しくてローズ様に声を掛けるが、ローズ様は微笑むだけだった。

「さあ、碧青の騎士様はこちらへ」

「え?え?……あの、私はローズ様から離れることは出来ません」

「リリアーヌったらお堅いわね。大丈夫よ。パーテーションを用意したからそっちらで……あなた達、やっておしまいなさい」

「えぇー?やっておしまいって何ですかそれは!」

「ほら、時間が無いわよ。後はそこの侍女達に任せなさい。悪いようにはしないから」

 ローズ様がそう言うと侍女達が私の腕を掴み、パーテーションの裏に連れて行かれた。侍女達は何をするの一斉に腕まくりをしたのが見えた。

 何……。

 何をするつもりなのーー?!


 数十分後……。


「ローズ様、準備が整いました」

 優雅にお茶を飲んでいたローズ様が、侍女の言葉を聞き振り返った。するとそこには美しく着飾ったリリアーヌがいた。

「まあ、まあまあまあ……リリアーヌ、とっても素敵よ。やっぱりリリアーヌには青が似合うわね」

 嬉しそうにはしゃぐローズとは裏腹に、リリアーヌはグッタリとしていた。リリアーヌは侍女達の手によって美しい青いドレスに着替えさせられ、化粧を施し、髪を結い上げていた。本来貴婦人の舞踏会の準備は数時間が掛かるというのに、今回数十分という短い時間でここまで整えるという侍女達の腕はたいしたものだった。しかしそれに付き合わされたリリアーヌはとんでもなく大変だった。侍女達の言われるがままに行動し全て言いなりとなった。ここで抵抗でもすればきっと恐ろしいことになっていたことだろう。

 だって侍女達は笑っているというのに、目が笑っていないのだ。

 殺し屋と対峙した時よりも、恐ろしい目に遭った。

 リリアーヌはローズから褒められているというのに、顔の表情筋を無くしたかのようにスッンと顔を硬くさせていた。