【第一話】
エリアスの結婚式の日、アーシェリアは招待客としてその光景を見守っていた。
半年前、突然の心変わりによって自分との婚約を解消したエリアス。
それでも彼の幸せが一番だと祝福の気持ちで結婚式を見守っていると、突如エリアスの周囲から黒い荊が生える。
エリアスはそのまま命を落としてしまい、残されたアーシェリアは後悔に苛まれる。
あれは呪いだった。自分が側にいれば、彼のことを助けられていたかもしれない。
ショックのあまり意識を失ってしまったアーシェリア。次に目覚めた時、なぜか時が半年前に戻っていた。
「今度こそエリアスさまを救ってみせる!」
しかしその日、エリアスは彼女との茶会で婚約解消を持ちかける。

【第二話】
「理由をお聞かせ願えますか、殿下」
「他に好きな人が出来た」
アーシェリアに某公爵令嬢を紹介するエリアス。
しかしアーシェリアはあの手この手で彼女を説得(脅)し、なんとか婚約解消を回避。
それと同時に呪いを解く方法を調べ始める。
なんとしてでも、大好きなエリアスを助けてみせる。
(過去回想)
エリアスとの出会いは、魔術師試験の会場。その頃のアーシェリアは気弱な少女で、強大な魔力を持て余していた。
使い魔召喚の儀式で大きな黒い鳥を呼び出したアーシェリアの力に皆が恐れおののく中、彼だけは「君の魔法、すごく格好良いね」と声を掛けてくれた。その時から、アーシェリアは彼のための魔女になると決めたのだ。

【第三話】
しかしエリアスにかけられた呪いはあまりに強力で、解く方法は見つからなかった。
代わりに呪いを肩代わりするための方法を見つけたアーシェリアは、指輪型の魔道具を作る。
エリアスがそれを身に着けていれば、彼の身に降りかかった呪いはすべて自分が肩代わりできるのだ。
誕生日の贈り物だと言うと、エリアスは素直に身に着けてくれた。
これで半年後、自分は呪いを肩代わりして死ぬ。その前にせめて、少しでもエリアスとの楽しい思い出を作りたいと、アーシェリアは彼をデートに誘う。
エリアスは戸惑いながらも付き合ってくれ、まるで恋人同士のようだと勘違いするほど、優しく接してくれた。
これで心置きなく死ねる、と満足するアーシェリア。