辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 怒りの叫びをあげたリティが、令嬢に掴みかかろうとする。

「きゃあっ!」

「やっぱり蛮族の娘は蛮族なのね!」

 令嬢たちが大げさに騒ぐ。

 リティの手がマルセルを侮辱した令嬢を捉える寸前、不意に息を呑む気配がした。

 それとほぼ同時に、背後から何者かがリティの手首を掴んで止める。

「夜も遅いというのに、威勢のいいことだな」

「離し――」

 怒りに打ち震えたリティが振り返ると、そこにいたのはランベールだった。

 燃えるような赤い瞳と目が合った瞬間、リティの背筋がさあっと冷える。

「ランベール殿下……」

「候補者同士の交流は禁じられていないが、これはいかがなものだろう」