辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 自分たちは散々暴言を吐いたくせに、言われるのは我慢ならなかったらしい。

 令嬢のひとりが眉を吊り上げ、怒りをあらわにする。

「そういえば、あなたは戦いのことしか考えていない蛮族の娘なのよね。屋敷は常に侵略者の血で汚れているって本当?」

 リティをどうしても蔑みたい令嬢は、彼女の家族をも馬鹿にする。

「生きたまま獣を食べるって聞いたけれど」

「使用人が全然いないそうね。もしかして人も食べるの?」

 ぷつん、とリティの頭の中で糸が切れる音がした。

「……いい加減にして」

 リティの声が震えているのは、悔しさや悲しさからではない。

「私の父のことをなにも知らないくせに!」