辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 令嬢たちがなにやらこそこそと話しているのが聞こえたが、今のリティの耳には入らない。

(ほかに私が言えることってある?)

 ランベールの揺らめく炎の瞳は、リティをまっすぐ捉えて離さない。

 緊張で喉がからからになるのを感じながら、リティはさらに続けた。

「父、マルセルの名は中央でも轟いていると聞きました。娘として恥ずかしくない自分でありたいと思っています」

「ああ、あのマルセル殿の……。では、雷帝トリスタンと氷の妖精の申し子とうたわれるジョエル殿はあなたの兄か」

「はい。自慢の兄たちです」

(トリスタンがそんな呼ばれ方をされているなんて知らなかったけど)