辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

「えっ、嘘! まだデビュタントを済ませてなかったの? じゃあお祝いしなきゃ」

 またふらりと歩いていったニナが、グラスをふたつ手に持って戻ってくる。

「はい、おめでとう」

「ありがとう」

 リティはニナからグラスを受け取り、縁を軽く合わせて乾杯をした。

(十七歳になっておいてよかったわ)

 エモニエで成人として認められるのは十七歳からだ。

 父のマルセルもふたりの兄もそれなりに酒を嗜むが、リティはまだ一度も口にしたことがなかった。

 初めての経験に胸を高鳴らせながらグラスに口をつけると、舌がぴりりと痺れる感覚とともに薫り高い炭酸が流れ込む。