辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 色とりどりの花の上を飛び交う美しい蝶たちと、目の前にいる令嬢たちの姿が重なる。

 リティには自分がそのうちのひとりなどと、とても思えそうになかった。

(兄さんたちには感謝しなきゃ)

 そう思いながら、リティは自分のドレスを見下ろした。

 彼女が候補者になると決めたとき、ごねにごねたのは父だけではなかった。

 ふたりの兄も最後まで抵抗していたが、最終的にはリティの意思を尊重し、応援の意味を込めて素晴らしいドレスを贈ってくれたのだ。

 星々がきらめく美しい夜空をそのまま切り取って布に仕立てたかのような濃紺のドレスは、今の流行を抑えた露出の少ない意匠(デザイン)である。