辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

「流氷のない水が湖なのかな。海は凍っているから」

「違うよー。ここは〝炎の妖精(フィロー)〟の加護があるから凍らないんだよ」

 素早く窓に移動したニナが言い、遠くに映る城を指さした。

「エモニエの王族はみんな炎の祝福を持って生まれるって知ってるでしょ? あれって、大昔に『この氷の大地を人が住める土地にしてください』って契約したからなんだって。王族は寂しがり屋の妖精のために、ここを笑顔でいっぱいにするのが仕事なの」

「そんな話があるのね。教えてくれてありがとう」

「この話を知らない人に初めて会ったよ! ほかには? どんな話を聞きたい?」