辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

「君とゆっくり過ごすためだ」

 ランベールの指がリティの顎を捉えて持ち上げる。

「今みたいな時間は、できるだけ長いほうがいい」

「……止めます?」

 時を止める能力を匂わせたリティだったが、すぐにその唇を塞がれた。

「キスができなくなるからやめてくれ」

 一度触れるだけでは物足りなくて、リティからもねだるように背伸びをする。

 何度唇を重ねても欲張りになるのが不思議だった。

 ふたりは角度を変えて求め合い、不意に顔を見合わせて笑った。

「やはり君の瞳はきれいだな」

「ランベール様こそ」

 優しい新緑の瞳と、温かな炎の瞳が絡み合う。

 ふたりの幸せな時間を止める必要はなかった。

 気が利く友人たちによって、誰にも邪魔されることがなかったからだ。