慣れないドレスに身を包んだリティは、城の大広間に足を踏み入れる。

 ランベールが誰を選ばなくてはならないか知っていても、リティはちゃんと見届けたいと思っていた。

 彼の選ぶ相手が、自分のかけがえのない友だちであることも関係している。

 今後もふたりとよい仲でいるために、気まずい終わり方はしたくなかったのだ。

(泣いちゃだめよ、リティ)

 大広間には大勢の人々が集まっていた。

 未来の王妃を祝福に来た者たちばかりである。

 しつらえた玉座には国王と王妃の姿があった。

 息子の晴れ舞台をどう思っているのか、表情からは窺い知れない。