辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 パーティーにふさわしい装飾も、壁際に並んでいた椅子も、花の飾りもすべて消えている。

 デルフィーヌが幻影の能力を使ったのは、自分の姿を誤認させるためだけではなかった。

 この空間すべてを彼女は騙していたのだ。

「騙したのね!」

 炎の妖精がいないと知り、ブランシュが激昂する。

 その間にリティはデルフィーヌのもとへ駆け寄り、彼女を支えた。

「先に皆を騙していたのはお前だろう」

 広場を包む空気が一気に熱を孕む。

 瞳に激しい炎を灯したランベールが、ブランシュに向けて手のひらをかざした。

「逃げられると思うな」

 なにもない場所から勢いよく炎が噴き出す。