辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 しかしもとよりティルアーク家の財政はかつかつで、彼女は数着の服を着まわして生活していた。

 ゆえに支度の時間がかからなかったというわけだ。

「さて、ここが今日から私の住む場所ね」

 故郷のクアトリーから五日かけて王都にたどり着いたリティは、城の案内人によって敷地内の豪勢な屋敷に導かれていた。

 降り積もったばかりのまっさらな雪にも似た白い建物は、城からやや離れた北西の位置にある。

 同じものが城を中心とした反対側にも存在し、リティを含めた三百人の候補者たちは四人ひと組の共同生活を送ることになっていた。

 リティを部屋まで連れてくると、案内人は次の仕事に向かってしまった。