辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

「デルフィーヌがいたんです。それで、追いかけようと思ったら……」

「デルフィーヌが?」

「はっきり見えたわけじゃありませんが、あの後ろ姿はデルフィーヌだったと思います。歩き方も……」

 話しながらリティはぽろぽろ涙をこぼしてしまう。

「もしデルフィーヌがひとりだったらどうしよう。あの人に襲われた後だったら?」

「落ち着け。大丈夫だから」

 堰を切ったように泣き出したリティを、ランベールが落ち着かせる。

 リティの言う『襲われた』がなにを示しているのか、彼女の乱れた服を見てわからないランベールではなかった。