辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 普通ならそんな痛みを受ければ、誰だってうめき声のひとつでも漏らすはずだ。

 しかしうめくどころか、男は痛みを感じる様子さえ見せなかった。

(どうすればいいの? このままじゃ……)

 簡単に裂けるはずのない服がちぎれる音がした。

 めちゃくちゃに暴れるリティだったが、男は止まらない。

(どうして? 止まってよ……!)

 強く願うと、不意に男の身体がこわばった。

(え……)

 抵抗をものともしなかった男が、ぴくりとも動かない。

 精巧に作られた人形のように固まったまま、目を見開いている。

(今のうちに……)

 リティは唯一自由になっている足で、勢いよく男を蹴り上げた。