辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

「ただ、マルセルの気持ちもよくわかる。妻に先立たれたあいつが、娘を手放したくないと思うのは当然だ。君はとても賢くてかわいい女の子だしね」

「ありがとう、ロベールさん。それを父さんに話したほうがいいわ。きっと今日は家に帰してもらえないわよ。夜通し、私の小さかった頃の話をするに違いないもの」

「間違いないな。そのときは酒を飲ませよう。知っていたかい、マルセルは火酒(かしゅ)を飲むと朝までぐっすりなんだよ」

 ふたりはいたずらの計画を立てる子どものように笑い合った。

 そして、どちらからともなくそっと抱き合う。

「私、妃候補として頑張ってみる」

「……勝手に決めてごめんよ」