辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 今はリティも『そういう知識』を勉強会で学んでいる。

 唇を触れ合わせた先の行為がどのようなものかも理解していたが、こんな形で奪われるものだとは聞いていない。

 恐ろしいのは行為そのものだけではなかった。

 先ほどから、リティを襲う男の顔に表情がない。

 目を開いているはずなのにどこを見ているかわからず、唇もだらしなく半開きになっている。

 こうした行為にはなんらかの欲を感じるはずなのに、およそ人間らしさというものを感じない。

(ごめんなさい!)

 リティは先に謝ってから、自分の口を塞ぐ男の手に噛みついた。