辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 上品な振る舞いが誰よりも身についているその人は、どう見てもデルフィーヌだった。

(こんな時間にどこへ行くの?)

 急いで窓を閉め、部屋を飛び出す。

 最近のデルフィーヌは様子がおかしかった。

 リティに妙なことを言い始めたのも、ニナが倒れてからだ。

 外へ出たリティは庭園に続く道を駆け、デルフィーヌが立っていた場所に到着する。

 だが、そこに彼女はいない。

(――違うわ)

 再び走りながら、リティは頭の中で否定する。

(デルフィーヌじゃない。彼女が事件の犯人なんて、絶対に違う)

 本心からそう思っているのに、じわじわと疑いが込み上げる。