辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

(恋愛なんてよくわからないと思ってたのに)

 今まで、話を聞いてほしいと思う相手は家族と、ここで出会った友人たちだけだった。

 しかし今は、ランベールにしか思わない。

 彼に信じているとひと言もらえれば、それだけで残りの試験もきっと耐えられるだろう。

「……ん?」

 ぼうっと外を見ていたリティは、庭園に向かって歩いていく人影に気がついた。

 数々の事件が起きてから、夜遅くに外出する者はいなくなった。

 それなのにその人物は気にしていない。

(……あの、歩き方)

 背筋を伸ばし、まっすぐに歩く姿は模範的でとても美しい。