辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 ランベールが頭上に目を向けてつぶやく。

 つい先ほどまで、ランベールの腕の中にはリティがいた。

 今はそのぬくもりがないせいで、ひどく寒く感じる。

「殿下」

「わかっている」

 ジョスランの言葉を遮って、ランベールは首を振った。

「たとえ心惹かれていても、俺の結婚はこの国のためのものだ」

 ランベールは唇を噛み締めると、自分の胸もとをきつく掴む。

「心には従えない」

 血を吐くような苦しい響きを孕んだ声は、ジョスランしか聞かなかった。

 鳥舎を充分に離れ、城と王都を繋ぐ橋と繋がった円形の広場に出る。

 しばらく黙っていたランベールだが、ここでようやく口を開いた。