辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 抱きしめ返せない状況をもどかしく思うほど、胸が切なく痛み出す。

 しかし、リティがランベールの気持ちに応えようとしたそのときだった。

「クァルルル」

 ふたりが騎乗していた鳥が大きな鳴き声をあげ、首を左右に振る。

「わっ」

 リティが咄嗟に前を向き直して鳥の羽毛を掴み、ランベールが素早く手綱を操る。

「こら、落ち着け」

 ふたりの間に漂っていた甘い空気が流れて消えてしまう。

 急に逆らい始めた鳥をそのままにするわけにもいかず、ふたりは小さなもどかしさと恥ずかしさを抱えて地上に降り立った。



◇ ◇ ◇