辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

「最初は変わった人だと思っていた。自分よりも家族や好きなものの話ばかりして……。役に立ちたいと願っているのは、よほど愛されて育ったからだろうと。家の駒になるしかない俺や、貴族たちとは違ったのが珍しかった」

 抱きしめられているせいでリティの背にランベールのぬくもりが伝わる。

 同時に、リティ以上に速くなっている鼓動も。

「君は誰かを『物』として見ない。……それがうれしかったんだ」

 一度は我慢したリティだったが、耐えられずにランベールを振り返った。

 冷たい風の中に、人のぬくもりを宿した吐息を感じる。

 それがわかるほど、ふたりは近い距離にいた。

「殿下……」