辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

「みんな、あなたを待っているのよ。もちろん私もね。挨拶する準備はもうとっくにできているわ。いつでも出てきて大丈夫よ」

 リティがそっと手を伸ばし、卵に触れる。

(温かい……)

 手のひらに命のぬくもりが広がった。

 微かな鼓動を感じ、リティの胸が感動に震える。

「大きくなったあなたが空を飛ぶところを見てみたい」

 エモニエの冷たい風を切って駆ける若い戦鳥が脳裏に浮かんだ。

 再び雛がこつこつと内側からくちばしで殻を叩くのを感じ、リティも外から優しく叩いて応えた。

 リティの声がきっかけか、それともちょうど準備ができたのか、ぱきりと固い音がすると同時に卵の一部が剥がれ落ちる。