「そんな卑しい命を守って一生の恥を背負うくらいなら、妃として立ち向かって死ぬべきよ」

「なんですって? 死んでしまったらなにも残らないのよ」

 ベッドがひとつ空いた部屋で、リティとデルフィーヌの間に火花が散る。

 しかしふたりの言い合いが激化する前に、ぱちんとニナが手を鳴らした。

「はいはい、そういうのは嫌いだって言ったよね? 喧嘩するなら私のいないところでやって。じゃないと、ふたりとも吹き飛ばしちゃうよ」

 怒った顔で瞳を金に染めたニナが、指先に風の塊を作り出す。