辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 幼い頃、誰と一緒に寝るかで父と兄たちが揉めたこと。

 花を咲かせるだけの能力だと落ち込むリティを、家族が温かく包み込んでくれたこと。

 初めて戦鳥のヒューイと出会い、興奮したこと。

 楽しい日々も、悲しい日々も、ありとあらゆる記憶が押し寄せる。

 最後にリティの心に現れたのは、ランベールだった。

(もっと殿下と話したかった……)

 家族との再会よりも、なぜかランベールとのささやかな会話を願う。

 流れる走馬灯に覚悟を決めたときだった。

「リティシア!」

 その声を聞いたリティは、考えるよりも先に頭を伏せていた。

 直後、すさまじい轟音と高熱が迸る。