辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

(父さんや兄さんたちだったら絶対にこうする。だから私もティルアーク家の人間として同じように動くわ)

 廊下の人混みは、リティたちが大広間へ向かっていたときに比べればかなり減っていた。

 おかげで動きやすいものの、逆走するリティの姿はひどく目立つ。

「どこへ行くんだ!」

 中庭へ向かおうとしていた騎士のひとりに呼び止められ、リティは振り返った。

「友だちがいないんです! 紅茶色の髪をこのくらいまで伸ばした子を見ませんでしたか!?」

「とっくに広間に避難しているはずだ! 君も早く――」

「いなかったのよ!」

 リティは泣きそうになりながら叫ぶ。