辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 はっと顔を上げると、リティの目の前には磨き抜かれた剣の切っ先があった。

 突然の事態に息を呑むも、淡い光にぼんやり照らされた剣の持ち主を見て目を見開く。

「殿下、どうしてここに……」

「……リティシア?」

 初めて名前を呼ばれたことにも気づかず、リティは軽く両手を上げた。

「この子たちを傷つけようとしているわけではありません。少し落ち込むことがあって、ひとりになりたかっただけなんです」

「……あなたでなければ信じなかったな」

 ランベールが厳しい表情を緩め、リティに突きつけていた剣を鞘に戻す。

「まさか自分と同じ考えの人間がこの世に存在すると思わなかった」