辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 あきれた様子でリティが聞くと、ジョエルが肩をすくめる。

「全部。こっちにはトリスタンがいるからな」

 弟に小突かれたトリスタンが気まずそうな顔をする。

「ふうん、便利な能力ですこと。盗み聞きに使わないならもっとよかったのに」

「その、俺は」

「兄さんたちも反対なの?」

 トリスタンの言い訳を遮り、リティが質問する。

「反対だ」

「反対だよ」

 ふたりの兄は、妹の質問に即答した。

「かわいいリティと離れ離れになるなんて耐えられない。俺が毎日涙を流す日々を送っていいのか?」

「兄さんの涙なんて、きっとすぐ凍っちゃうわ」

 ふいっとそっぽを向いたリティが廊下を歩き出す。