辺境の貧乏令嬢ですが、次期国王の王妃候補に選ばれてしまいました

 思い出したのは昨夜、庭園で起きた出来事だった。

 リティもエリーズを真似て周囲を見回してみたが、あのときに絡んできた三人の令嬢の姿は見当たらない。

「試験だけかと思っていたけれど、そうじゃないってこと?」

 エリーズの隣に座っていた薄紫の髪の令嬢が会話に交ざってくる。

 リティはそれを咎めず、少し考えながらうなずいた。

「今だって選考中なのかもしれないわね」

 会話に入ってきた令嬢が緊張した面持ちで背筋を伸ばす。

 つられてリティも背筋を伸ばし、手に持ったふわふわの白いパンを見下ろした。