「ねえねえ早見さ~ん、本当に部活やんないのー?」



テニスラケットを肩にかけながら話しかけてきたのは、前の席でもある宮田さん。


私が好きだったアニメキャラの悪女は、運動だけは苦手だった。

というのに、似ている彼女はなんとテニス部に所属しているらしい。



「うん。前の学校でもとくに入ってなかったから…」


「かもだけどさあ~、こっちは入って当たり前みたいなとこあるよ?だって退屈じゃん。なにかやってないと休みの日とか」


「……まあ」



その自覚はあるんだ…。

なにもない町だから、休日にサクッと出かけられるような場所すらない。


確かにクラスメイトのほとんどが部活動のために学校に通っている、みたいな圧力を感じるけど。


そのなかでも所属していない生徒は、個人で習い事をやっていたりするんだと。