「じゃあ夏は、どの高校でも挑戦できるの?」


「もちろん」



勝ち進んで勝ち進んだものだけが次に進める、トーナメント制。

どんなに名前のない高校だろうと挑むことができる、目指すことが許される。



「おまえは応援、してくれる?」



なんて顔してるの。
泣きそうなんだけど、友利。

私は誰かを元気づけるとか、慰めるとか、そんなのやったことないから分からない。


でも、ひとつ、うなずくことだけはできる。



「…笑われねーかな」



踏み出すギリギリの手前で、友利は一歩だけ後ずさった。



「もちろん俺の場合はいろんな理由から責められることはあると思う。それは全然いい。
けど……笑われるほうがキツいかもって、今まで逃げてた部分もあったんだ」


「……笑われたって、いいでしょ」


「………」


「めいっぱい笑われてやろーよ、友利」


「……おう」



さすがに格好悪いってのは弁解してえわ───と、先ほどとは天と地の差がある表情で彼は笑った。