「まーな。…でも、行くよ絶対」



ほらそんなこと言うから、森さんをもっとトリコにさせてる。

気づいてないのは本人だけなんじゃないか。

森さんがマネージャー以上の目を友利に向けていることに。



「惜しかったな、野球部。初戦敗退か…、だとしても地区大会まで進んだことは名誉あることだぞ」



しかしそれから野球部は、予選を勝ち抜いた学校のみが集まる地区大会で現実を見て帰って来た。

甘くなかった。
予選とは単純にレベルが違った。


ただ友利の表情は、誰もに新たな期待を持たせるもので。



「ほんとラッキーっすよ俺たち。強いチームがどんな試合をしてくるか味わえたし、今回の結果と経験を逆に利用できる。だから、こっから夏に向けて猛特訓!」



6月下旬から開催される甲子園への第一歩、夏の予選。

4地区に区切られた地方予選を勝ち進んだ学校が、7月末に待ち受ける県大会へと進み、優勝を掴んだ者が甲子園の切符を手にする。