司先輩、甘すぎです…



「なんか直前になると不安になってきた…」
「何が?」
ぼそっと呟いたのが聞こえたのか、机に突っ伏していた音が顔を上げて反応した。
相変わらずの地獄耳…
「いや、なんでも…」
そう言って誤魔化すけど、目が泳いでしまう。
くっ、嘘つくの下手すぎる…
「なんかある表情だな?」
音が口角を上げて私のことをじっと見つめてきた。
音の綺麗な漆黒の瞳に見つめられると、何もかも見透かされそうな感じがして、ごくりとつばを呑んだ。
じ…と見つめられて、数秒。
その視線にとうとう耐えきれなくなった私は、逃げるように鞄を持って教室を出た。

「ちょ、どこ行くの!?てか逃げんなー!!」

後ろで音がそう叫んでいるのが聞こえたけど、聞こえないフリをして、足を進めた。
いや…でも言えなくない?
気になる人の教室に行きますとか!!
うん、言えない言えない…
絶対からかわれそうだし…
冷やかされる未来が容易に想像できて、ぶんぶんと頭を振って打ち消した。

さてと…早く2年の教室に行かなきゃ。
気を取り直して、2年のフロアへの階段を上る。

2年のフロアは1年生のフロアとそこまで差はないけど、また違った印象を受けた。
あんまり、人いない…
これじゃあ、司先輩も教室にいるか分からないかも。
もう放課後だし部活行っている可能性もあるよね…
うわ、なんでそれ考えなかったんだろう…

とりあえず、司先輩のクラスである2ー3の教室をのぞいてみる。

すると、そこには机に突っ伏している司先輩がいた。