甘くて優しい、恋の香り。


「彼女?誰の?」



聡太先パイはきょとんとしている。



「やだなぁ、聡太先パイの彼女ですよ。さっき一緒に居たじゃないですか。可愛い女の子でしたね」

「え?」



私は聡太先パイにジャージを返そうとする。

でも先パイは受け取らない。



「早く行ってあげてください」

「泣いてる安堂を置いて行かないよ、オレ」

「だから、泣いてないですから。彼女に悪いし」

「……その彼女って、オレの彼女じゃないんだけど」



聡太先パイの言葉に、私はきょとんとしてしまう。



「え?」

「だから、オレの彼女じゃない。さっき、翼も居ただろ?翼の彼女だよ、あの子」

「翼先パイも居ました!?」

「あいつ、存在感無いからなぁ」
と、聡太先パイは苦笑い。



「で?」



聡太先パイはにこにこして、私を見つめる。



「ヤキモチやいたの?」

「違っ……!」

「安堂、顔が真っ赤」


(そんなに嬉しそうに見つめないで……!)