「あの!好きです琉火(るか)くん!」


「無理、いやだ」


地元のお祭り。クラスの中で都合のいい人は一緒に行こう!と誰かが呼びかけたのはまだ夏休みに入る前のことだった。


もちろん私の隣にも彼の隣にもクラスメイトがいる状況で。


幸運なことに花火が始まったおかげで誰一人この告白を聞いてはいなかったけれど、不幸なことに私、純花 杏(すみか あん)は秒で振られていた。


せめて悩むふりでもしてくれれば...ううん、優しさ振りまく琉火くんなんて琉火くんじゃない!でもやっぱり悩んでほしかった!


振られた相手、色見(しきみ)琉火くん。


この結果を聞けば学校中が「まあ、そうだろうね」とわかりきったみたいに頷く。


だって、琉火くんはそういう人。


なにに対しても淡白でどうしたってつかめなくて、多分あんまり人が好きじゃなくて、人気があっても興味なんて無くて。



...まあ今告白するつもりなんて無かったんだけど!



つい、だった。



青色の花火があがって、琉火くんの目に、髪に、横顔に映ってそれがなによりもずっと綺麗だと思った。