なるちゃんの顔なんてまともに見れるはずがない。



全身の血が沸騰する感覚。



穴があったら入りたいとはまさにこのことで、地面を見つめることしかできない私から見えたものは。



「っ…まじで可愛すぎるから。それは反則だろ、どう考えても」



さっきと同じくらいか、それ以上に赤く染まったなるちゃんがしゃがみこんでいて。



「…わざわざ言わなくていい。俺は海琴が良いならいつだって繋ぎたいし」



「っ…!」



赤面したなるちゃんの上目遣いとそのセリフは、それこそ反則だと思う。



ダブルパンチの威力はとてつもなく強い。



なるちゃんが立ち上がってもまだドキドキうるさくて、心臓が壊れちゃう気がして。



「ね、ねぇなるちゃん?やっぱり繋がないって選択は──」



「あるわけねぇだろ」



少し強引に引かれた左手。



絡み合った指がきゅっと固く結ばれた。



「今日からこの繋ぎ方だから。ちゃんと覚えといて」



嬉しそうに目を細めて言うなるちゃんの瞳を見上げれば、夕日に負けないくらいの真っ赤な顔をした私が映っていた。



一歩踏み出すことの意味。



私自身がこんなにも変わるんだって、初めて知った。