頭の中で反芻する。
『その幸せは、俺が作ってやりたい。古賀の笑顔を、誰よりもずっと傍で見ていたいって…そんな思いが止まらねぇんだ』
この夜の静寂に響いたまっすぐな言葉。
背中越しに伝わる、熱くて大きな鼓動。
「…それ、は……」
“どういう意味?”なんて。
聞けないし、それは違うと私でもわかる。
きっと私は、他の人より察するのが苦手。
でも、人の気持ちに気づけないほどの鈍感にはなりきれなくて。
「…私の、こと…」
零れた言葉が、静かに落ちる。
恐る恐る振り向いて、茶色の瞳をじっと覗くと。
「…はは、嘘って思いたいか?」
「っ…」
ゆらり揺らめく瞳の奥が、切なげに私を映していた。
その瞬間、きゅっと心臓が締め付けられる。
痛くて、痛くて、今にも潰れてしまいそう。
そしてその瞬間、脳裏にある人がよぎった。
………なるちゃん。
私は今、なるちゃんと付き合ってて、それで─────
……ううん、違う。
誰と付き合ってるとか、そういうのじゃなくて…。
“私の気持ち”はどこを向いているのか。
それを考えて伝えるのが、今私がするべきことなんじゃないのかな。



