しどろもどろになって答えると、長谷川くんの目がジロリと動く。
「それを迷子と言わずになんと言えと…?」
「えーと…迷い人?」
「言い方の問題じゃねーよ?」
はぁ…と大きなため息が、頭の上をかすめる。
「あ、幸せ逃げるからやめたほうがいーよ?」
「幸せねぇ…」
私いいこと思いついちゃったから、なぜか遠い目をする長谷川くんに提案をひとつ。
「そだ。私が代わりにかき集めといたげるね?長谷川くんの幸せ戻ってこーい…!」
こちらに寄せるように手のひらを動かすと、さらさらとした夜の空気に触れた気がして。
「長谷川くん。あのね、こうすると、なんかすごいエモさを感じ───」
この感覚をおすそ分けしようと思って声をかけたときのだった。
「俺の“幸せ”になってくんね?」
低く、それでいて熱の篭った声が零れたと同時に、するりと伸びてきた腕に捕らわれた。
ドクドク跳ねる大きな鼓動も、硬い胸板のこの感覚も、背中越しにぜんぶ伝わってきて。
「は、長谷川く…」
「わかってんだよ。古賀の幸せが俺の幸せだって。わかってんのに…」
この腕を解かなきゃいけないのに、解けないのは…。
「その幸せは、俺が作ってやりたい。古賀の笑顔を、誰よりもずっと傍で見ていたいって…そんな思いが止まらねぇんだ」
「っ…!」
長谷川くんのまっすぐな言葉が、痛いほどに突き刺さって抜けないからだ。



