「うーん…やっぱり、一旦部屋に帰───」
なるちゃんの部屋の前で待ち伏せしようと身を翻したとき、窓の外に目がいった。
そこには、ライトアップされた中庭が一面に広がっていて。
小洒落た庭園のようになっているその景色は、夜ということも相まってとても綺麗に映っていた。
「…よし、予定変更」
こんなに素敵な場所に行かないなんてもったいない!ということで、迷うことなく外へと通じる扉を開けた。
一歩踏み出すと、ジャリ…という小石の音が小さく響く。
足裏に感じるでこぼこを踏みしめながら、少しづつ歩みを進めていくと。
「綺麗…」
花びらが浮く小池を見つけ、その光景に思わず呟く。
だって、それくらい幻想的なんだもん。
私たち、本当に良いところ泊まってるんだなぁ…。
穂乃果ちゃんには本当に感謝だよね。
せっかくだし、最大限楽しまなきゃ損損。
その場にしゃがみこんで、水面を覗き込んでみようとしたら。
「っうわ?!」
バランスを崩して、そのまま池へと落っこち───
「───あれ、落っこちて…ない?」
「…落っこちたかったら止めねーけど」
見上げれば、満点の星空。
背中に感じる熱い鼓動が、水中にいないことを確かめさせてくれた。



