入学してすぐに、私は奈也に王塁の姫に誘われた。
奈也のことは友達としてでしか見てなかったけど、まぁめんどくさそうだし受け入れた。
最初の方はみんなやさしくしてくれた。
「すみれ!一緒にゲームしよ!」
「すみれ、スイーツ食べる?」
「すみれ送っていくよ。」あの頃はみんなすみれすみれうるさいくらい呼んでくれていた。
それが崩れたのは私が姫をやめる1ヶ月前。
「この子、もう一人追加で入る姫の礼美。スミレの妹なんだってな!」
その瞬間、私はすでに嫌な予感がしていた。
なにか仕掛けられるな。
「礼美ちゃんほんとにいい子だよねー!」
わたしは礼美ちゃんが何も喋らないことにきまずさを感じて一方的にしゃべっていた
そしたら礼美が
「ねぇ、すみれちゃん、姫、やめる気無いの?」
感情が読めなかった。
「え」
短く聞き返した。
「だから!王塁には姫は一人!私だけでいいの!」
礼美が声を荒らげていった。
そしてふぅ、と息を吐くと私に向かってバケツの水をかけてきた
しょうがないので私は濡れた服を交換しに保健室に行った。
保健室を出て、倉庫に行った。
「おはよ、」
私は短く言った。
返事は返ってこない。
あの日から。
礼美が来てみんな礼美礼美になって、私はお飾りの姫、みたいな感じだった
でも、私はそれが一番安心する立場だった。
誰にも愛されなくていい。
注目なんてされなくていい。
ただ、大事な人の側にいたい。
それだけだった。
「すみれ‼‼‼‼」
倉庫の上の階から奈也のバカでかいこえがきこえた
仕方なく倉庫の二階の幹部室に行くと、幹部室の奥の方には、ボロボロの姿で泣きじゃくっている礼美とそれを慰める幹部の奴ら。一瞬で事態の整理がついた。
あぁ、この子にはめられた。
私、
―姫、やめさせられるんだ。
「ここまで最低だとは思わなかった」
「汚い」
「ここに二度とくるな」
別にこんな事言われてもどうも思わなかった。
でも、怖い。
―自分が。
こんなに長い間一緒にいた王塁の奴らに裏切られても何も感じることのできない自分が怖かった。
心がなくなってしまったんじゃないかって。
怖かった。
ま、こんなとこかな
この後私は奈也によって姫やめさせられたってわけ。