「あの、旦那様?」
「坊ちゃん、いくらなんでも……」

 モルガンとマルスランが気を遣ってくれ、間に入ってくれようとした。

 彼らにこんなことで気を遣わせてしまい、申し訳なさすぎる。

「さすがに疲れたな。風呂に入って腹ごしらえをし、眠りたい。話は、明日ゆっくりしよう」
「かしこまりました。旦那様、ご案内いたします」

 モルガンは、わたしに視線を走らせてからフェリクスを屋敷内に導いた。

 これが、夫とわたしの初対面である。