「まさか、まだいたとはな。とっくの昔に帝都に戻ったのかと思っていた」

 彼のごつい顔には、はっきりと不機嫌そうな表情が浮かんでいる。

「帝都に戻る理由がございませんので」

 魅惑的な翡翠色の瞳など、どこかにふっ飛んでしまった。

「ああ、そうか。まぁ、いいだろう」

 彼は、プイとよそを向いた。

 まるでわたしには関心がないとでもいうように。