それなのに……。

 いま、その書物のその表現が分かった気がする。というか、主人公のレディや貴公子になった気がする。

 なぜなら、まさしくその表現がぴったりなほどの強大なまでの衝撃を受けたから。

 もっともその書物とは違い、衝撃を受けたのはわたしだけでしょうけれど。

 とにかく、「バーン」というか、「ドカーン」というか、それほどの衝撃を受けたわけである。

 人生の中で受けたことのないすさまじい衝撃の中、彼のごつい顔の目が見開かれたのを見た。