みんなに挨拶をしてから、診療を行っている建物へ。二階建ての立派な病棟には、五十ほどの病床がある。だけど、診療室のある建物は、平屋の小屋。それでも一応は三部屋あって、診察室に二部屋使い、残りの一部屋を薬師用にしている。

 今朝はこの町の医師が診察を行っているので、もう一部屋を使うことにした。

 病院とはいえ、技術的にも物理的にも経済的にも出来ることに限界がある。

 運営するにあたり、わたしが散在するはずのお金を当てている。

 一度も会ったことのないまだ見ぬ旦那様は、わたしに好きなようにしていいと言った。だから経済的なことも含めて、といいように解釈している。ドレスとか美味しい食べ物とか、めずらしい骨董品とか絵画とか、そういったものに使うはずの費用をこちらにまわしている。